院長おススメ本のシェア☆

公開日:2015年12月23日

昔、買ってもらったクリスマスケーキの上で尻もちをついて泣いてしまったことのある、なかむら整骨院 院長の中村です。

 

なかむら整骨院のどこかにいる、このサンタクロース…

 

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何年か前に、気に入って買ったのですが、

 

 

おかしいと思いませんか…?

 

 

このサンタ、トナカイにまたがってる!!

 

 

トナカイに乗っているサンタを初めて見たので、思わず買ってしまったのでした(笑)。

 

 

今日は、クリスマスプレゼントを兼ねて、私が最近読んだ本の中で、心に響いた箇所をここに書かせてもらい、

 

いつもこのブログを楽しく読んで頂いている方にシェアしたいと思います。

 

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せつないお話ですが、少し長いので、お時間のある時にでも読んでくださいね。

(著作権は出版社に確認、了承を得ていますのでご安心ください)

 

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茂利先生はもうお亡くなりになったんですが、富山のお坊さんでした。まだ戦後間もない頃、たしか福井かどこかにお説教に行って、その日のうちに富山に戻らなくてはならず、お話が済んですぐに荷物を持って田舎の一本道をバス停まで歩いたんだそうです。先生の前には、おばあちゃんと若い女の子が二人で歩いていました。一本道なので、いつの間にか追いついて、ふたりの後ろを歩くような形になったそうです。黙って歩いているんですけど、ときどきおばあちゃんが女の子に話しかけるらしいんですよ。

「ええかー、とし子。向こうに行ったら水が変わるから飲み物、食べ物には気いつけてな」。とし子さんは大きな荷物を持っていて、これからどこかへ行くらしい。おばあちゃんは続けて、「人さまのもんにはどんなにほしくても万劫(まんごう)にも手を出したらあかんで」というわけです。

「まんごう」っていう表現が面白いですよね。劫は古代インドの時間の単位です。サンスクリットでカルパといいます。大きな岩が擦り切れて一劫です。「寿限無、寿限無、五劫の擦り切れ」の寿限無とは「寿命限り無し」ですので、原語はアミターユス。阿弥陀仏を表わします。阿弥陀仏は悟りをひらくときに「五劫」ずっと考えたそうです。さきほどのは「万劫」ですから、もう永遠ですよね。昔の田舎にはそんな言い方があったんでしょう。「人さまのもんにはどんなにほしくても万劫にも手を出したらあかんで。おまえは末っ子やから、帰ってきても家が困るから、どんなつらいことがあっても辛抱せなあかんでー」。そういっていたそうです。

その頃は紡績工場などに集団就職したので、それじゃないかと茂利先生はいうてはりました。おばあちゃんと思ったらどうも母と娘だったんですね。末っ子なんで、お母さんがかなり年をとっていたわけです。

お母さんがそういうと、とし子さんが黙ってうなずく。しばらく歩くと、またお母さんが「ええかー、とし子・・・・・・」と一字一句違わずにいうそうなんです。

「ええかーとし子、向こうに行ったら水が変わるから飲み物、食べ物には気いつけてな。人さまのもんにはどんなにほしくても万劫にも手を出したらあかんで。おまえは末っ子やから、帰ってきても家が困るから、どんなつらいことがあっても辛抱せなあかんでー」。

すると、とし子さんがまたうんうんとうなずく。黙って歩いていると、また「ええかー、とし子」がはじまる。やがてバス停に着いて、三人でバスが来るまで座っていたらしいんです。とし子さんはお下げっていうんですかね、髪をきゅっとくくって、ほっぺたも赤くて、ほんとうに十五、十六歳ぐらいに見えたといっておられました。黙ってベンチに三人で腰掛けて、またしばらくすると「ええかー、とし子・・・・・・」がはじまる。

やがてバスが着く。バスは満員だったそうです。でも、今日中に富山に帰らないとあかんので、茂利先生はとにかく乗ったらしいんです。そしたらとし子さんもかばん抱えて乗ってきたそうです。それで、とし子さんが窓のほうに行こうとしているのがわかった。あ、そうか、お母さんと最後のお別れやと思って、茂利先生はとし子さんに気づかれないように、ほかのお客を押してあげて、とし子さんがなんとか窓の所に行けるようにした。昔のバスですから、下から押し上げる窓ですよね。あれを開けてバーッと身体をのり出したんですって。ベンチに座っていたお母さんも気づいてダーッと走ってきて、窓の下で二人は一瞬見つめ合ったそうです。

最後のお別れやなと思って茂利先生が見てたら、お母さんの「ええかー、とし子ー」ってはじまったんです。そしたら今度は「つらかったら何時でも帰って来いよー」というたんですって。そしたらね、「お母さんっ!」って、とし子さんの声を一回だけ聞いたと茂利先生はいうてはりました。

 

内田 樹、釈 徹宗 「聖地巡礼 ビギニング」 東京書籍 2013 p136-138 

より引用

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

 

色んな解釈があるかもしれませんが、

 

私は何回この文章を読んでも、「じ~ん」と、きてしまいます。

 

 

これからも感動したことや素敵なことはどんどんシェアしていきたいと思います。

今日もブログを最後まで読んで頂いて、ありがとうございました!

メリークリスマス

 

 

…クリスマスなのにお坊さんの話?という疑問は、そっと胸に閉まっておいてください(笑)

 

 

なかむら整骨院

徳島県徳島市南沖洲5丁目7-5

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